「地球はとっても丸い」プロジェクトの面々が心を込めてお届けしたエッセイです。
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第2回 片付け終了、さあ家造り
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    隔月連載 「新居は再生古民家〜スウェーデン流〜」
    田中ティナ(在エステルスンド・スウェーデン)

     2008年にゴミをかたづけ、必要のない壁や仕切りを取り壊したので家の中はほぼがらんどう。部屋の真ん中に積みかけの煙突が鎮座している。

     家を「造る」段階に移行した2009年の目標は屋根と窓を新しいものに交換し、1階の床をとりのぞくこと。大工作業の基礎知識のない私にとって、ちんぷんかんぷんの分野に突入だ。体力的にも非力な私ではアシスタントもおぼつかないので、仕事の効率を考えて5月と6月の2カ月間、夫の友人、ヨーナスに助っ人を依頼した。

    2009年、作業終了時。この姿で2010年までひと冬越す私たちのドリームハ
    2009年、作業終了時。
    この姿で2010年までひと冬越す私たちのドリームハウス

    ヨーナスの本職はオーレのコック。オーレはスウェーデンでも人気のスキー場だが、夏はダウンヒルバイクや水辺のアクティビティに集まる観光客も冬ほどではなく、スキー場のレストランも閉店してしまう。そのため彼は夏場タイル職人として働いているのだが、今年は2カ月を私たちのために提供してくれるという。自分たちだけで働いていたときはなんだかんだ理由をつけてフィーカ(スウェーデンでお茶することをFikaという)ばかりしていたような気もするが、人を雇うとなると「ちょっと疲れた」とか「天気がいいから釣りに行こう」といって休むわけにはいかないくなる。

    彼の存在は休む言い訳をしないような状況を作ってくれたし、本職の大工ではないけれどちょっとした会話の中から仕事の手順や方法について夫もインスピレーションを得られたり、煮詰まったときには気分転換にもなって、一石五鳥くらいの役割を発揮してくれたのだった。

     さて実作業。まず、煙突はコンクリートでベースを造りその上にセメントをつなぎにしてレンガを積んでいく。煙突が傾かないように水準器を使って各辺の水平を維持しながらの作業。レンガは古い煙突から使えるものは活用し、たりない分だけ買いたした。というのも屋内部分は仕上げに薄いコンクリートでレンガを覆ってしまうのでレンガの見た目は関係ないのだ。ただ、屋根から出ている部分は非常に目立つので新品レンガでエレガントに仕上げた。

     私の仕事はアシスタント。セメントやレンガ運び、セメントを混ぜる機械を洗ったり、たまにはレンガを積んでみたりなどなど。レンガひとつは片手でも楽に運べる重さだけれど、つかんで運んで持ち上げてを長い期間繰り返していたら、ひじの内側がキーンと痛くなってきた。どうやら俗に言うテニスエルボーになったらしい。

    煙突を造る。レンガを積み、中には煙突本体の管と換気用のパイプを配管。すき間には軽石を。屋内部分は薄いセメントでレンガを覆う
    煙突を造る。レンガを積み、中には煙突本体の管と換気用のパイプを配管。すき間には軽石を。屋内部分は薄いセメントでレンガを覆う

     そして、屋根。まずは撤去作業から開始。アスベストのプレートを壊さないようにはずし、地上に運搬。その下に隠れていた昔の木を使った屋根を取り除き、ベースの骨組みを残した。屋根を高くするための材木、ビニールシート、ねじをとめるための横木を追加してプロート(金属)製の屋根を取りつける準備が整った。屋根の資材は色と長さを決め、雨どいやネジなどの備品も含めてフィンランドの会社にオーダーした。

    地上から5.2mの金属板を傷つけないように持ち上げるのは体力と集中力のいる作業だ。夫とヨーナスは鳶職(とびしょく)顔負けの身のこなしで屋根の上を渡っていく。それを横目に見ながら、私は雨どいを取りつける材木のペンキ塗り。ペンキは家の外観の一部にも塗る色なので慎重に吟味した。

    屋根壊す。家のまわりは廃材の山。屋根を取り除くと新品の煙突が誇らしげに登場した
    屋根壊す。家のまわりは廃材の山。屋根を取り除くと新品の煙突が誇らしげに登場した

    5.2mの長いプロートをひとつずつはめ、ねじ止めする。高い屋根の上なので慎重に。雨の日は滑りやすいので屋根の作業は中止
    5.2mの長いプロートをひとつずつはめ、ねじ止めする。高い屋根の上なので慎重に。雨の日は滑りやすいので屋根の作業は中止

     屋根が仕上がるとふたりは窓の交換に着手した。この窓は熱効率を考えたガラスを使った二重窓。こちらは窓枠のサイズに合わせて微調整をしてくれるというポーランドの会社から購入した。

    古い窓ガラスは現代のタイプのようにスムースではなく波打っているのが特徴で、そのノスタルジックな風合いを好む人も多い。寒さ対策のために古い窓を使い続けることはできないけれど、捨ててしまうのは心残りと考えた私たち。ネットで「どなたかいりませんか」と発信したら、古い家を改装している人が「ぜひぜひ」とトレーラーを引いてやってきた。「リユースバンザイ!」である。

     窓は木片を(支って はさんで あてがって)水平になるようにボルトで設置。まだまだその他家造り作業は続くので窓枠やガラスを傷つけないように、すべての窓を内側と外側からビニールで覆った。

    新しい窓設置完了。保護のためビニールで覆う
    新しい窓設置完了。保護のためビニールで覆う

     今年のもうひとつの目標は1階の床をとりのぞくこと。床下が湿気てカビやきのこが生えないよう通風をよくするために、50cmほど床下の土を掘るのだ。床にももれなくオガクズの断熱材が入っていた。袋につめて捨てにいくのにも疲れたので、今回は巨大なブロアーを拝借し裏庭に吸い出した。オガクズの中に混ざっていた細い木や石がホースに詰まって吸い込みが悪くなったときには難儀したものだ。

    床の下は土。ひんやりとしている。通気をよくするために床下を掘る
    床の下は土。ひんやりとしている。通気をよくするために床下を掘る

    この床材は厚く質がよかったので夫の兄が移築して手直ししているログハウスの床へともらわれていった。廃材として燃やしてしまえばそれまでだけれど、どこかで誰かに気にいられて使われているのはとてもうれしい気分。

     魚釣り、友人たちとのバーベキュー、芝刈り、オークション巡りなどなど、短い夏にするべきことはたくさんあるので、2009年の改築作業はここまでとした。


    ≪田中ティナ/プロフィール≫
    2004年よりエステルスンド在住。ライター、写真撮影、翻訳業のかたわら、冬はフリースタイルのジャッジとして活動。この夏は年内の引越しを目標に夫の母から譲り受けた古民家を改装中。といっても実態は「かたづけ専門家」。



    | 『新居は再生古民家〜スウェーデン流〜』/田中ティナ | 03:21 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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