「地球はとっても丸い」プロジェクトの面々が心を込めてお届けしたエッセイです。
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第3回 大切な基礎工事
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    隔月連載 「新居は再生古民家〜スウェーデン流〜」
    田中ティナ(在エステルスンド・スウェーデン)


    「家の造りは人間の体によく似ている」、とリノベーションを観察しながら思った。私たちの生活に大切な衣食住のひとつ、「家」は安心して生活を営むためには欠くことのできない存在だ。私たちを包み込み守ってくれるこの空間は無機質ながら、実はまるで生き物のようなのだ。上下水道、電気、暖房などなど、ひとつが欠けても生活に支障が出るのは、まるで病気になると思うように動かなくなる、私たちの体そっくりといえるだろう。
     
     去年は不要物をかたづけて柱や梁をチェックし、屋根と窓を新しいものに取り替えた。つまり、体のオーバーホールと骨格の確認したわけだ。

     そして今年になって上下水の配管、電気の配線、床暖房、断熱材などを手配した。壁や床のベースを人間の皮膚と考えれば、それらは皮膚の下に配された内臓にたとえられるだろうか。もう少し細かく考えてみると、飲み水を運ぶ上水は動脈で汚れた水を運ぶのは静脈、電気のコードは神経、暖房関連の配管はエネルギーを口からとって排出するまでの消化器官というのはどうだろう。どの管も普段暮らしているときには壁や床の内側に隠れているので見ることはできないし、とくに意識することはない。でも、快適に生活するために家にはなくてならないパーツなのだ。
    床下にパイプを通すための溝を掘る。水が流れるように下水管は傾斜をつける。電気の配線は家の隅々まで行き届くように全長400m使用  
    (左から)1:床下にパイプを通すための溝を掘る。
    2:水が流れるように下水管は傾斜をつける。
    3:電気の配線は家の隅々まで行き届くように全長400m使用

    左から。水道用のパイプは冬でも凍らないように、床に断熱材を敷いてから、水とお湯がお互いに熱を奪いあわないように離して設置。トイレのタンクは壁の中に入るタイプ。下水用管はトイレと洗面所用(左グレー)で別サイズを用意。電線は事故のないように3から5色に色分けされている
    1:水道用のパイプは冬でも凍らないように、床に断熱材を敷いてから、水とお湯がお互いに熱を奪いあわないように離して設置。
    2:トイレのタンクは壁の中に入るタイプ。下水用管はトイレと洗面所用(左グレー)で別サイズを用意。
    3:電線は事故のないように3から5色に色分けされている。


     そう考えてみると、配管が整った今、残りの仕事はいつも目にする部分のペンキ塗り、壁紙と床材貼り、そしてバスルームのタイル貼りなどインテリア部分の作業。さしずめお化粧やお肌を整える美容マッサージといったところだろうか。

     さて、スウェーデンは国土の一部が北極圏内にあって、私の住む地方は中部、ノルウェーとの国境より、北緯63度11分のあたり。気候的には寒冷氷雪気候地帯にあたる。私の経験では、夏は30度を超えることはなく湿度も低いので快適そのもの。逆に冬はマイナス35度を記録するほど冷え込みが厳しい。

     「天気にあった服装を選ぶならこの世に悪天候は存在しない」という言い伝えがあるが、寒さの厳しい冬でも防寒対策をしっかりして、子どもは外でそり遊びをしたり、親も仕事や買い物にでかけたり普段の生活を営んでいる。もちろん、家の中は家庭によってことなるが、たとえば私たちの住む集合住宅(集中暖房)では室温は23度くらいになるようにヒーターがコントロールされている。つまり、外は寒くても家の中は快適温度というわけ。そこで、この地方で家を建てる場合、冬の室内を快適な温度に保つための工夫が必要になる。昔は断熱材にオガクズをつめていたけれど、今はガラス繊維製のグラスウールを使用するケースが主流だとか。改築中の我が家、壁には14cm、床下は26cmとたっぷり断熱材を入れ込んだ。また、上昇する熱が屋根から逃れるのをストップするため、屋根裏の部分にも注入式でフォームの断熱材の使用を予定している。

     また、断熱材を入れるにしても、室内と外気の温度差があるため結露して壁の中に湿気がたまると、カビやきのこが生えたりして見えない部分にダメージが発生する場合もある。そんなことが起きないように、木の壁と断熱材の間にビニールシートを挟んだり、窓枠の部分は、断熱材の間に空間を設けるなど、場所によって最適な方法を選ぶことが大切だ。
    お湯の流れを計算しながら床暖房のパネルを設置。金属のパネルの上にお湯が流れるパイプを埋め込む。断熱材を設置しながら床の水平を調整
    1:お湯の流れを計算しながら床暖房のパネルを設置。
    2:金属のパネルの上にお湯が流れるパイプを埋め込む。
    3:断熱材を設置しながら床の水平を調整


     熱効率を高めるための工夫は断熱材ばかりではない。換気にも一役買ってもらうことにする。昔ながらの木造家屋なら、適当にすきまがあって自然に換気ができるのかもしれないけれど、現代の家は冬の寒さをシャットアウトするため気密性がとても高い。我が家で選んだ換気システムは、取り込む外気を家の中で使った暖かい空気で温めてから室内に送り込むというもの。熱交換方式とでも言えばよいのだろうか。何事も無駄にせず、使えるものはなんでも活用する精神がこのシステムにも発揮されているようだ。
     
     街中の暖房システムはコミュニティーがまとめて熱を供給するタイプが主流だが、郊外の一軒家となると行政のインフラも整っておらず、個人で準備するのが通常だ。ソーラーシステム、電気の熱で沸かしたお湯をパネルヒーターに通す、また薪を使ったストーブなど暖房の方法は多種多様。検討した結果、私たちはメインに地中熱を利用するヒートポンプシステムを採用することに決めた。これは、パイプを地中に埋め込んでその中で不凍液などをポンプで循環させ、地熱からエネルギーを得て水を温め、その水を暖房に利用するというもの。もちろんなにが起こるか誰にもわからないけれど、最初にパイプ、ポンプや機械本体などに投資すれば、半永久的に熱を供給してくれるシステムと聞いた。再生可能なエネルギーであるところも気にいった理由のひとつだ。

    ≪田中ティナ/プロフィール≫
    2004年よりエステルスンド在住。ライター、写真撮影、翻訳業。冬はフリースタイルのジャッジとして活動。この夏、年内の引越しを目標に夫の母から譲り受けた古民家を改装に励んだが、諸事情により引越しは来年に延期。現場では親方である夫のアシスタント、といっても実態は「かたづけ専門家」。

    | 『新居は再生古民家〜スウェーデン流〜』/田中ティナ | 05:48 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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