「地球はとっても丸い」プロジェクトの面々が心を込めてお届けしたエッセイです。
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151号/田中ティナ
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    アパートから見える市民スキー場も雪化粧しはじめ、9月からはじまった狩猟シーズンも終盤にはいった。

    ハンターたちの標的になる野生動物はさまざまだが、メインはムース。自然界のバランスをコントロールするため地区ごとに、また性別や固体のサイズ(大人か子ども)で撃つことのできる頭数が決められている。森の中にはトナカイも暮らしてはいるが狩の対象にはならない。というのも、トナカイは野生動物ではなく家畜だから。オーナーはサーメ人だ。

    サーメの人々は、独自の言葉と文化を持ち、古くからスウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの北部地域で遊牧の民として生活を営んできた。現在では、町に定住するサーメ人も多いと聞くが、国境線がひかれる前から行われてきた、トナカイを遊牧するという彼らのライフスタイルを、スウェーデンでは国で保護している。たとえば、森の中を歩き回っているトナカイがなにかの拍子に車道に飛び出して交通事故にあった場合、運転手は警察に届ける義務がある。というのもトナカイはサーメ人の所有物なので、トナカイが事故死すると政府が保証金をオーナーに支払うのだそうだ。オーナーは耳につけられた印などで判別するという。

    スウェーデンでは法律に「自然を楽しむ権利」が盛りこまれており、人々のバックボーンに「他人の権利を侵害したり環境を壊さない限り、誰でも自由に自然を楽しむことができる」という基本理念が浸透している。とは言うものの、昔からトナカイとともに自由に移動してきたサーメ人と、自分たちの土地をトナカイに気ままに闊歩してほしくないという農場主たちとの軋轢は存在する。

    土地を自由に移動する権利か、はたまた土地の所有権が優先されるのか? 一筋縄では解決できないセンシティブな話し合いが続いている。私としてはトナカイの幸せを願うばかり。

         (スウェーデン/エステルスンド在住 田中ティナ)
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