「地球はとっても丸い」プロジェクトの面々が心を込めてお届けしたエッセイです。
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第11話 家族の新巣は夫の古巣
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    リレー連載『地球丸寄港』
    文・写真:椰子ノ木やほい(アメリカ合衆国・ミシガン州在住)

     日本のとある山村で、家族6人、平凡ながらも田舎暮らしを楽しんでいたのに、突然の海外移住願望により、南太平洋の小国サモアに引越したのは1997年のこと。その4年後の2001年からアメリカ合衆国のミシガン州に新たな巣を構えた。

     大きなアメリカで、なぜミシガン州? と聞かれることも多いが、その経緯は以前、「いろんなご縁に導かれて」 という地球丸エッセイでもお伝えした。つまり、我が家が今暮らしているミシガン州のとある小さな都市は、若かりしころ、夫が留学先に選んだ彼の古巣だ。

    ミシガン州

     さて、ミシガン州を簡単にご紹介しよう。ミシガンの形は、ミトンのような形をしているため、ミシガン人が地理を表すときには、右手の手のひらが使われる。地図をみていただくとわかるように、地理的にはアメリカの北東部に位置し、北部、東部、西部は五大湖のうち、スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖と、四湖に囲まれ、北と東にはカナダとの国境がある。

    湖がいたるところにある州

    ボート登録数は全米一

     通称、“Grate Lakes State(五大湖の州)”と呼ばれ、州内には、五大湖以外の大小さまざまな湖が11,000以上あり、五大湖周辺を守る歴史ある灯台の数も100以上。州立公園も100近くに及び、カナダやアメリカ各地からの観光客も多い。湖が多いためか、ボートの登録数は実は全米一だという。

     有名な都市としては、アメリカの三大自動車メーカー、かつて、ビッグ3と呼ばれた、GM、フォード、クライスラーの本拠地デトロイトがあるが、もはや“Big”とはいえないどころか、アメリカではトップレベルの失業率となり、犯罪の多い都市として悪名高き都市に成り下がっている。しかし、我が家が住む町はそんな衰退ぶりを発揮しているデトロイトからは少々遠い。

    大学キャンパス

     手のひらのちょうど中心あたりに位置する学園都市で、市の中心には州立の大学がある。また、ネイティブアメリカン、チペワインディアンの居住区も郡内にあるため、インディアン経営のカジノが存在する。週末には近隣からのギャンブラーで賑わっている。

     北海道と同じぐらいの緯度に位置する、ミシガン州の冬は長く厳しい。住めば都とはいうものの、冬の寒さは半端ではなく辛い。氷点下15度、20度という日もあるので、冬に0℃ぐらいだと、「あら、今日はあったかい」と思ってしまうほどだ。その冬の寒さは、私が感じている唯一の減点部分だとして、平坦な地ではあるが、冬以外なら、庭にいつもリスやウサギが現れ、車で数分も走ると、アライグマやシカが我が物顔で暮らすという自然豊かなところだ。また、大都市から離れているためか、治安も良く、アメリカ映画に描かれるような、凶悪犯罪など想像できないのどかさだ。

     州政府としては、昨今の経済衰退ぶりで、元気をなくしている最たる州といえるかもしれないが、我が家の住む市は、カレッジタウンならではの特質か、若い学生たちの存在が、町に活気をもたらし、さほど焦燥感は感じられない。また、田舎ではあっても、大学があるおかげで、世界中から集まる留学生や研究者が、町全体に自然と融合しているため、外国人として暮らす私たちにとって、居心地は悪くない。国際色豊かで、さしずめ、スモールワールドと言えるだろう。加えて、大きな工場などがなく労働者が少ない反面、市民の多くが大学関係者ということで、地域の教育水準は比較的良く、地元の高校生の進学率や学校のレベルも必然的に高めというのも、家族で暮らす者にとっては、高マークといったところだ。
    地域住民にも開放されている図書館


     2001年に南の島サモアからここに越してきて早くも8年が過ぎた。当時小学校4年に編入した末っ子がハイスクールもあと残すところ1年。そして、ハイスクールの11年生に編入した娘は、この町で大学院に通っている。真ん中の息子2人も大学生だ。かれこれ、四半世紀以上も前に、夫が留学していた大学に、まさか、娘も息子たちも通うことになろうとは……

    大学主催の野外コンサート

     しかし、家族ぐるみで同じ大学に所属するのも悪くはない。まず、共通の話題に事欠かないし、大学のイベントには家族で参加できる。また、大学内の施設や催し、各種団体の多くが地域住民にも開放されているため、望めば、各種スポーツ観戦、アスレチックジムにブールも身近に利用できるし、勉強や自己啓発の場として、大学の講座も便利に活用できる。総合大学として、音楽カレッジも備えているため、キャンパスでは年中、コンサートやリサイタルが開かれているのも音楽好きにはうれしい。

     この町に来てからもどんどん歳をとっているはずだが、気持ちだけはズンズン若くなっている気がするのも、カレッジライフが身近にあるからかもしれない。ちょっと退屈だと思うと、インターネットで大学のカレンダーを覗き、おもしろそうなイベントはないかな? と探してみる。かつて、私が高校生の頃、アメリカに留学したいと思ったこともあったが、今、そのアメリカの大学生活を身近に感じて暮らす日々を楽しんでいる。


    ≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
    フリーライターの傍ら、海外在住でライターやフォトグラファー、コーディネーターなどメディアに関わる仕事をする人たちの集まる場所「海外在住メディア広場」 の運営・管理人を楽しんでいる。「世界の空の下から」では、登録者の皆様のユニーク な横顔や素顔を管理人としてご紹介しています。よろしかったら覗いて下さいね。子育てに洞察の深いライターが集まる場、「地球で子育て!」もどうぞよろしく。
    | 『地球丸寄港』/メンバーによるリレー連載 | 02:27 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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