「地球はとっても丸い」プロジェクトの面々が心を込めてお届けしたエッセイです。
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139号/マイアットかおり
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     先月、ついにうちにも不況の波がやってきた。仕事を終わらせ、さあ請求書送付を済ませたら寝ようと、翻訳料金の支払いが期日までになかった米国のソフトウェア会社に督促通知を送る……いつもの手順のはずだった。が、いつになく速く届いた返信メッセージを読んで目が覚める。

    「当社はXX日をもって倒産いたしました。すべての連絡は下記の担当弁護士にお願いします」

     何っ? 倒産? ということは私の7月分の請求は支払いなし? 一瞬のうちに目が覚め青くなる。この支払いを結構あてにしていたのだ。

     翌日以降、この会社への電話連絡、弁護士への手紙作成、裁判所への債権者手続き、この収入がない分の埋め合わせの金策……と仕事そっちのけで膨大な時間を費やした。しかし、おかしなことに、メールに記載された弁護士の名前がインターネット検索にひっかからない。直接弁護士と話せれば一番よいと思ったのだがあてがはずれる。それから探しても探しても、米国の倒産裁判所のデータベースに、この会社の倒産手続き番号が出てこないことに気づく。

     ひょっとして……? 一度倒産の手続きが完了してしまったら、担保などで保証されていない債権はほとんど取り返すのが難しい。債権者のリストに入ってももらえる額はごくわずか。手間に辟易してほとんどあきらめかけていたのだが、だんだんと私の頭には疑念がうずまいてきた。米国で弁護士をしている友人に頼んで検索してもらっても、担当弁護士の所在はおろか、倒産の登録状態も検索できない。これは「倒産詐欺」ではないだろうか?

     私の勘はあたった。開業以来仕事先に恵まれ、トラブルは経験したが支払いがまったくなかった、ということはほとんどなかった。ダメもとで債権整理会社いわゆる 「借金取り」に連絡。「この倒産が本物だった時には回収は不能とあきらめてくださいね」と言われながらも回収を依頼。すると、意外にも数日後に当の会社から振込があるではないか!

     どんな事情があったにせよ、ひとことあれば支払いの猶予くらいはできたし、割引だってできたはずだ。倒産を偽るなんてたちが悪い。非常に後味の悪い出来事だった。また、それ以上に取り立て会社の有能さにも感心。あれだけ私が電話してもメールしても効果がなかったのにたった1週間で結果を出すとはさすがプロ。ただし、いくら効果はあってもあまりちょくちょくお世話にはなりたくはない。また、初めて取引する翻訳会社に私が敏感になったことは言うまでもない。

       (フランス・ビアリッツ在住 マイアットかおり)
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